ダイバッチョの日記

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釣れるのは魚とプラごみ、海のクリーンアップ作戦に漁師が協力!


2019年6月29日 11:00AFPBB News
【AFP】月夜のイタリア沿岸沖で、漁師たちがいつものように網にかかったものを引き揚げていく。コウイカにヒメジ、そしてプラスチックごみ。だが今日は、そのごみを海には戻さない。

【写真】餓死していたクジラの胃から見つかったプラごみ フィリピン


 イタリアで、集められたごみを分析し、可能なものは再利用する海のクリーンアップ作戦の青写真をつくる実験が、差し当たって1か月間の予定で行われている。このプロジェクトを運営する「クリーン・シー・ライフ(Clean Sea Life)」のコーディネーター、エレオノラ・デサバタ(Eleonora de Sabata)氏は、「多くの漁師はごみを海に投げ返してきたが、それは法律によって、海のごみを陸揚げすることができないからだ」と説明する。

 アドリア海のリゾート地、サンベネデットデルトロント(San Benedetto del Tronto)の沖合で、同プロジェクトに参加している約40隻の漁船がこのジレンマに苦しめられることはないようだ。プロジェクトが始まってからの1か月間で、漁師たちは毎週約1トンのごみを収集した。そのうち60%がプラスチックだった。

 ごみは毎日、ボランティアのスタッフによって波止場で記録・分別される。一部は再生ごみに回されるが、家庭ごみや産業廃棄物と一緒に処分されるものもある。だが、海に戻されるごみはない。

 プロジェクトは当初、世界海洋デー(World Oceans Day)前日の6月7日に終了する予定だったが、夏が終わるまで、数か月間にわたって続けられることになった。

 主催者は、このごみ処理方法が、イタリアの他の地域のみならず、他国にも広がることを期待している。

 プラスチックごみの大半は、使い捨てのボトルや皿、ナイフやフォークなどだが、古い漁網やムール貝の養殖網から、医療器具や複写機の部品まで、ありとあらゆるごみが交ざっている。

 漁師のクラウディオ・ウリアーニ(Claudio Uriani)さん(62)は、釣り上げた魚やイカを市場で売るために種類別にバケツに入れる。だが、最も大量に水揚げされるのはプラスチックだ。



■回収されたごみのうち約4分の1が再生可能だった

 地中海は、人口密度の高い陸地に囲まれた閉鎖的な海域という問題も抱えている。

 論文審査のある米オンライン科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に2015年に掲載された研究論文によると、地中海には推定1000~3000トンのプラスチックが浮遊しており、さらに海底には未知量のプラスチックが沈んでいる。同論文によると、ナイル川(Nile River)からは毎年、少なくとも1500トンのプラスチックが地中海に流れ込んでいるという。

 イタリアの海岸には、よくマッコウクジラが打ち上げられるが、胃の中には大量のプラスチックが詰まっている。

 欧州議会(European Parliament)は今年3月、2021年から欧州連合EU)内で使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する法案を可決。

 イタリアでも、既存の廃棄物の取り扱いに関する法案が提出されている。現行法では、漁師が魚介類と一緒に引き揚げたごみを回収して廃棄すれば、ごみを不法に移動させた罪で起訴される可能性がある。

 海洋ごみの推定80%は陸から運ばれたもので、20%は船舶から投棄されたか、漁業関係のものとみられている。

 デサバタ氏は、「私たちの実験の意義は、海底に沈んでいるものを調査し、どれだけのものがリサイクル可能で、どうすれば、このごみを管理できるのかを明らかにすることだ」と主張。「こうした情報は、政策を決定する上で助けになるはずだ」と話す。

 デサバタ氏によれば、これまでに回収された全廃棄物のうち約4分の1が再生可能だったという。

 汚染に関する問題は、プラスチックを食物連鎖に入れないようにする対策だけにとどまらない。海面下100メートルから引き揚げた網にペンキの缶がかかっていた場合、一緒に捕れた魚は汚染されており、廃棄せざるを得なくなる。漁師たちは、網にかかるプラスチックがあまりに多いため、魚を捕れなくなっていると話す。

 夜間の漁を終えて港に戻ったトロール船から、魚とごみが波止場に下ろされた。「これを1か月間でなく1年間行えば、海はきれいになるだろう」と、木箱を下ろしながら船長は語った。
【翻訳編集】AFPBB News


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